homify と言う住環境関係のSNSで、この建築を見た時は、ちょっとしたカルチャーショックを受けました。海外ではこの手の建築は良く目にしますが、日本国内でこんな斬新なシェルターのようなフォルムで実現した建築物は初めて見ました。

    これを実現した人たちのエネルギーを想像すると、尊敬せざるを得ません。調べたところ、デザイナーはアールテクニック一級建築士事務所の井手孝太郎さん、施工担当は株式会社技覚、いずれもHPのTOPに多く画像が掲載されていて、建物自体は個人の軽井沢別荘である事が判明し、2009年にはグッドデザイン賞を受賞もしています。



    軽井沢別荘として、最初のデザインは、丸まった貝のようだったと、建築名も「shell」と名付けられています。実際、施工上の問題で多少変更があり、今のデザインとなりました。別荘ではありますが、このようなデザインは何十年、何百年たっても、色褪せない芸術性を秘めていると感じます。

    別荘の断面を幾つか見て行くと、シェルと言うより、美味しいロールケーキのように見えて、包まれた中には甘く幸せな生活があるように感じられます。この特殊なフォルムにも関わらず、軽井沢の森の中で、実に馴染んでいました。

    今度、軽井沢へ行く際には、自分の目で鑑賞したいものです。個人の別荘なので、可能かどうかは別の話として、遠目からでも、一見の価値があります。


    建築された別荘は前後2つの部分から成り立ち、間は上記画像のようにデッキで囲まれています。別荘の前方にも同じデッキがあり、随所、干渉を受けずに佇む場所や静かに会話できる場所があります。施主は4人家族らしいですが、数十人が集まっても全然大丈夫な広さです。


  別荘の前半分はダイニングキッチンとリビングで、キッチンは全体的に丸みの帯びた中でも、角角と主張する部分であり、ダイニングテーブルは人の和を象徴するかのように、建物と同じ丸みを帯びています。床の木材はかなり上がっていますので、湿気を気にせず、建物の寿命も保証される気がします。


    キッチンに隣接したリビングソファは丸く、暖炉を囲んだ形で、別荘として週末だけ利用するのが勿体ないくらい、日常的に使いたいデザインのスペースです。吊り下げタイプの暖炉を囲んだ形は、そこに集まる人たちの笑い声が聴こえそうです。自分の別荘でもないのに、なんだかときめいて、全ての空間の写真を目で追いたくなります。


    別荘のリビング部分の中央当たりから前方を眺める風景です。自然の彫刻と謳われる軽井沢の森が、周囲ほぼどこからでも目に入り、自然の癒しのパワーを漏れなく吸収できそうです。また緑の背景から、丸みを帯びたフォルムの鉄筋コンクリートがより一層際立ち、森に馴染んでいます。

    あの鉄筋コンクリートでこんな美しい曲線を表現できるなんて、あ、理屈ではできると解りますが、実際に見た事も無かったので、感動です。そもそも木造別荘が圧倒的に多いのに、鉄筋コンクリートで曲線美を追求した別荘とは、もう1回言わせてもらいますが、感動です。


    別荘の後ろ半分は所謂住空間ですね。暗く感じがちな建物の中央部分はちゃんと天窓で採光を取り、光と影のコントラストもそこに存在する景色の一つになっています。


    気になる寝室部分はちゃんと壁で目隠ししていますね。全体的にガラス壁を多く使っていて、解放感たっぷりですが、実際には重厚な鉄筋コンクリートが丸ごと別荘を包み、プライバシーはちゃんと守れていますよね。


    1階の奥はサニータリーと浴室、何れも別荘全体と同じく、丸みを帯びたデザインで、洗い場までも床は木材を使い、なんとも優しい雰囲気を醸し出しています。ただ別荘全体のバランスから見れば、サニータリーが少々こじんまりとしてしていて、洗面台も2つ並べているものと想像していました。写真などでは見かけませんでしたが、きっと2階などには別のサニータリーがあるかも知れません。


    夜ライトアップした様子です。素敵ですね~

    いつか別荘を買えるようになった時(来るのか?)は、こんな唯一無二のデザインにしてみたいです。・・・・・・しかし、何をどうすればこんな贅沢な別荘を持つことができるのでしょう、別荘がこのレベルなら、実際に住んでいる家はどんなものでしょう、成功していなければ決してできない事ですが、先ず人生で成功を収めるにはどうすればいいのか、筆者のような凡人はそこからスタートしないといけないですね。

    いやはや、ときめきと感動をありがとうございました。